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2024.10.24コラム

老人ホームへの入居を検討されている方、またはご家族様へ

老人ホームへの入居を検討されている方、またはご家族様へ

有料老人ホームの共通ポイント

多くの有料老人ホームは、24時間の連絡体制の整備、医療機関との連携、生活支援サービスの提供、健康的な食事の提供、全室個室や広い共用スペースなど、生活しやすい住環境を整えています。近年では、住宅街の中に位置し地域に溶け込んでいる施設や、駅の近くにあり容易に買い物に出かける事も可能など、施設の立地にも工夫がなされています。入居費用はさまざまですが、比較的安価に入居できる施設が増加しています。次に述べる「住宅型」と「介護付」の有料老人ホームは、特別養護老人ホームと同様に、認知症の方の受け入れや看取りも行っています。

 

有料老人ホームとは

老人福祉法において、「老人を入居させ、入浴、排せつ、食事の介護、食事の提供、またはその他の日常生活に必要な便宜を供与する事業を行う施設」を有料老人ホームと定義しています。

 

有料老人ホームには、「健康型有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」の3つのタイプがあります。

「健康型有料老人ホーム」は、食事などのサービスが付いた高齢者向けの居住施設で、介護が不要で自立した生活を送ることができる方が対象です。

「住宅型有料老人ホーム」は、入居者の多くが介護を必要とする方で、食事の提供や介護相談などの施設サービスに加え、訪問介護や通所介護などの介護保険サービスを利用し、必要な介護を受けながら生活を送る施設です。

「介護付き有料老人ホーム」は、上記の施設サービスに加え、介護保険法に基づく特定施設入居者生活介護の指定を受けており、介護が必要な入居者に対して施設スタッフが介護サービスを提供する施設です。

 

健康型有料老人ホームのメリットとデメリット

健康型有料老人ホームのメリットには、充実したレクリエーションやイベントの提供、入居者の見守りや状況把握などの生活支援サービスを受けられること、老後の生活を楽しみながら健康寿命を延ばし、介護予防を図ることができる点などが挙げられます。

デメリットとしては、軽度の介護が必要な場合には外部サービスを利用することができますが、常時介護が必要となった場合には、契約を解除して退去することが前提となります。

 

住宅型有料老人ホームのメリットとデメリット

住宅型有料老人ホームのメリットは、介護が必要になった場合でも、介護サービスを利用しながらホームでの生活を継続できる点です。また、住み慣れた地域の施設に入居することで、慣れ親しんだ事業所から介護サービスを受けることも可能です。

デメリットとして、要介護・要支援の区分支給限度額(介護保険から給付される1か月あたりの上限額)を超える介護が必要になった場合、自費で介護を受けることになります。また、精神疾患の進行や喀痰吸引が必要となるなど、医療の必要性が高まった場合には、医療特化型の施設を除き、契約を解除して退去しなければなりません。

 

介護付き有料老人ホームのメリットとデメリット

介護付き有料老人ホームのメリットは、介護が必要な方が要介護・要支援の区分支給限度額にとらわれることなく、必要な介護を受けられる点です。また、レクリエーションやイベントを実施している施設が多く、元気な方でも入居しやすい環境が整っています。

デメリットとしては、介護保険における特定施設入居者生活介護を利用することになるため、居宅介護支援や訪問介護、通所介護などの外部居宅介護サービスを利用できなくなる点が挙げられます。また、住宅型と同様に、精神疾患の進行や喀痰吸引が必要となるなど、医療的な必要性が高まった場合には、契約を解除して退去しなければならないことも留意すべきです。

 

有料老人ホームを選ぶ際のポイント

・施設見学を柔軟に受け入れているかどうか(施設の都合で日程が決まっていないか、見学の時間に制限が設けられていないか、見学の回数に制限が設けられていないかなど)を確認する。

 

・入居費用が経済的に適正であるかどうか(本人の貯蓄や年金で賄えるか、家族が支援できる範囲内か、将来的に継続して入居できるか)を確認する。

 

・入居者が快適に生活できる環境であるかどうか(部屋の広さ、明るさ、トイレや洗面所の使い勝手、家具の配置のしやすさ、共用スペースの環境、他者とのコミュニケーションの取りやすさ、持ち込むことができない生活用品など)を確認する。

 

・入居者の健康維持に配慮されているかどうか(食事提供の内容、服薬管理、検温・血圧測定などの健康管理、活動機会の提供など)を確認する。

 

・入居者の健康状態に応じた対応が可能かどうか(独歩者、歩行器利用者、車いす利用者、寝たきりの利用者などへの配慮、固有の疾患、認知症の進行、視力や聴力の低下、四肢欠損者への対応)を確認する。

 

・必要な医療を受けられるかどうか(主治医は誰になるのか、訪問診療を受けることは可能か、内科以外の医療連携先はどこか、通院の付き添い者は誰か、救急搬送時の対応はどのようになるのかなど)を確認する。

 

・介護サービスを受けやすいかどうか(慣れ親しんだ事業所から介護サービスを受けられるか、入居者が望む介護が提供されるか、自費サービスを容易に利用できるかなど)を確認する。

 

・面会がしやすい施設かどうか(面会担当職員の有無、面会ができない曜日や時間、面会の場所、一度の面会での人数制限、面会の所要時間、駐車場の有無、公共交通機関の利便性など)を確認する。

 

・施設職員とのコミュニケーションが円滑に行えるかどうか(施設管理者や生活相談員との話しやすさ、サービス担当者会議の実施状況、ケアプランの説明と同意の取得、運営懇談会の開催状況、意見箱の設置、管理者や相談員が不在の場合の対応など)を確認する。

 

・体験入居が可能かどうか(介護保険を利用せずに体験入居ができるか、宿泊なしで食事の提供やレクリエーションのみの体験が可能か、その際の費用はいくらか)を確認する。

 

終わりに

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。参考になりましたでしょうか?

近年、施設の立地はますます改善されています。費用面でも、ユニット型の特別養護老人ホームと比較して、入居費用が大幅に抑えられている施設が多数存在します。「有料老人ホームは高額」という認識は、一部を除いて過去のものとなっています。認知症の受け入れが充実した施設や、24時間看護師が常駐し医療に特化した老人ホームもあり、老人ホームは多様化が進んでいます。

老人ホームを選ぶ際に考慮すべきことは、何よりも「入居者の立場に立って施設を選ぶ」ことが重要です。情報収集も必要ですが、実際に入居を希望する本人が施設見学を行い、既存の入居者がどのような生活を送っているのか、そこに笑顔があるのか、職員の対応はどうかなどを実際に感じ取ることが大切です。関心があれば、体験入居を申し込んでみるのも良いでしょう。また、知人が入居している施設があれば、ぜひ訪れてみてください。焦らず急がず、複数の施設を見学したり体験入居を行ったりすることが、自分にぴったりの施設を見つける近道となるでしょう。

         

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